彫刻の森美術館はいいぞ
こんにちは。kurishinです。
先週の月曜と火曜、箱根へ旅行に行ってまいりました。
平日だろうが何だろうがお構いなしに、好きな時に旅行ができるというのは休学生の特権ですね。一足早いゴールデンウィークを堪能してきました。
月曜の夕方、箱根登山鉄道の終着駅「強羅」に到着。温泉宿でゆっくりして、その翌日。
新緑の香りと湿り気。ひんやりと澄んだ空気。からりと照り付ける太陽。それらが対流し混じり合う、初夏の山地の朝。
気持ちのいい天気だった。
ここから登山鉄道に乗って、一駅山を下りたところにある「彫刻の森美術館」に行ったわけなのですが、なんというか、あれですね。一言でいえば、めちゃくちゃ良かった。
知らない人のためにちょっと説明すると、彫刻の森美術館とは…
四季折々の雄大な自然が楽しめる箱根。彫刻の森美術館は、その大自然を生かして1969年に開館した、国内で はじめての野外美術館(オープンエアーミュージアム)です。
箱根の山々が望める7万㎡の緑豊かな庭園に、 近・現代を代表する彫刻家の名作約120点が常設展示されています。お気に入りの作品をじっくり眺めたり散策気 分でのんびり歩いたり、思い思いに芸術とふれあうことができます。
また、世界有数のコレクション300点余りを順 次公開しているピカソ館をはじめ、5つの室内展示場や天然温泉の足湯もあり、心豊かな憩いの ひとときを過ごすことができます。
彫刻の森美術館ホームページ
箱根 彫刻の森美術館 THE HAKONE OPEN-AIR MUSEUM
「彫刻の森美術館について」より。
要するに、お外にすてきな彫刻がいっぱいある美術館です。
今回の旅行自体、彫刻の森目当てだったのですが、期待を裏切りませんでしたね。とにかく良い。「一生に一度」なんて言わずに「一年に一回」ペースで来ても飽きないんじゃないかなと思う。
ということで、以下では「彫刻の森美術館のここがいいぞ」というポイントを、写真を見ながらゆるゆると振り返りたいと思います。
彫刻の森美術館のここがいいぞ
その1 景色がいいぞ
言わずもがなですが、景色が素晴らしい。彫刻から目を転じれば、すぐ隣に箱根の山々
の大パノラマが広がる。
景色が良いだけじゃないんですよ。彫刻の森美術館のコンセプトの一つが、「自然と彫刻の調和・競演」です。
彫刻もただ無造作に置かれているのではなく、風景の中にきちんと配置されているんですよね。
箱根の自然と彫刻がお喋りをしているような。
良い。ただただ、良い。
その2 ピカソ館がいいぞ
彫刻の森は屋外だけじゃなく、屋内にもいくつか展示があるんですよね。その一つがピカソ館。
正直、入る前は「野外の彫刻のおまけみたいなものだろう」と思っていたのですが、全然そんなことなかった。
僕が芸術に疎いだけなのかもしれませんが、僕の中の「ピカソ観」が変わりました(駄洒落じゃないですよ笑)。
残念ながら館内は写真撮影禁止だったので、代わりに公式ホームぺージのリンクを貼ってきます。
箱根 彫刻の森美術館 THE HAKONE OPEN-AIR MUSEUM - 常設作品紹介
リンク先を見てもらえばわかると思うのですが、ピカソの伝記を読んでいるような展示なんですよね。
もちろん作品自体素晴らしいのですが、その横の解説文もまた面白いんですよ。作品を見る目がガラリと変わりますし、作品への理解もぐんと深まります。
晩年、若く美しいモデルを前にして、羨望のまなざしを送るピカソ。
迫りくる死に恐怖するピカソ。
人間の生(性)に向き合い続ける、現実主義者(レアリスト)としてのピカソ。
デイヴィッド・ダグラス・ダンカンによる写真。ピカソ自身が残した言葉。
生々しい一人の人間ピカソが立ち現われてくる。
あと普通に「え、ピカソって陶芸もやってたの?」というような、素朴な驚きもあったりして、(よほどのピカソマニアでない限り)あなたの知らないピカソにきっと出会うことができるでしょう。
うん、ピカソ館、良い。
その3 レストランがいいぞ
彫刻の森内のお食事処としては、「The Hakone Open-Air Museum Café」というカフェと、「ベラフォレスタ」と「彫刻の森ダイニング」の二つのレストランがあるんですけども、
箱根 彫刻の森美術館 THE HAKONE OPEN-AIR MUSEUM - レストラン・ショップ
今回は「ベラフォレスタ」のほうでランチをいただきました。
結論から言いますと、ベラフォレスタは良い。
こういう美術館に併設しているレストランって、割高なイメージがありますよね。
しかし、こちらのベラフォレスタ、食べ放題(時間無制限)で、しかもドリンクバーやソフトクリームバー(気取り過ぎないところがいいですよね)までついて、お値段1980円!
そして何よりこの景色。
最高じゃないですか?
肝心のお料理ですが、普通においしかったです。よくあるリーズナブルな旅館やホテルのバイキングをちょっとおしゃれにしたぐらいのクオリティです。
僕としたことが料理の写真を撮り忘れるという痛恨のミスを犯してしまったので、どんな料理が出てくるかは口コミサイトをご覧ください。
そうそう、この3×3のプレートがキュートなんすよ。
ちょっと食べログでの評価が低いのですが、あまり量が食べられないおじちゃん・おばちゃんだと確かにコスパが悪いかも。料理もめちゃくちゃ美味い高級なものが出てくるわけじゃないですからね。
あまり量を食べない人や、少々高くてもいいものが食べたいという人は、隣の「彫刻の森ダイニング」に行ったほうがよさそうです。
それでもやっぱり、僕的にはベラフォレスタ最高なんですよ。
良く晴れたお昼時、特にすいているタイミングに行くとめちゃくちゃ良いです。
自分以外のお客さんがほとんどいない静かな店内で、雄大な自然を目の前にしながら、おいしいお料理を好きなだけいただく。
料理も飲み物もほとんど無尽蔵に、湯水のように湧いて出てきますからね(すいているときに行けば、料理を取りに並ばなくていいし、自分のためだけに料理が用意されているみたいな感じになって大変気持ちが良い)。
天国か、おとぎの国かと思いましたよ。
ベラフォレスタ、良い。
その4 彫刻がいいぞ
やっと本題です。そう、彫刻の森の目玉はなんといっても、野外に展示された個性豊かな彫刻たちです。
彫刻の森美術館内に入ってまずお出迎えしてくれるのが、この一対の彫刻。
かわいいですね~。”キモカワイイ”とは彼らのためにある言葉ではないでしょうか。
ただのデカい手。その名も『大きな手』。
タイトルは『密着』だそうです。
面白そうなやつらが、うじゃうじゃいる。
なんかもう金属の棒だし動いちゃってます。彫刻とは奥の深いものですね…。
この作品のタイトルなんだと思います?
作品のタイトル当てクイズや大喜利をやっても面白いですよね。
ちなみに正解は、『16本の回転する曲がった棒』です。
そして誰もが一度は小学校の図工の教科書なんかで見たことがあるであろう、かの有名な、ニキ・ド・サンファルの『ミス・ブラック・パワー』。
デカい
5メートルくらいあるらしいです。
デカいってずるいよね。デカいだけでなんかもう「パワー」を感じちゃうもん。
『幸せを呼ぶシンフォニー彫刻』という霊感商法で売られていそうなネーミングの彫刻がこちら。
「建物では?」と思われるかもしれませんが、彫刻です。『シンフォニー彫刻』と言っているのできっと彫刻なのでしょう。
とまあツッコミどころの多いタイトルの作品ですが、なんと中に入ることができます。
螺旋階段を上って中に入ると…
一面に広がるステンドグラスの世界!
シンフォニー彫刻というだけあって、どことなく「音楽的なもの」を感じます。
この螺旋階段を昇っていくと屋上に出ることができます。
帰りなのですが、高所恐怖症の人間にとっては結構怖い。
僕も高いところが苦手で、階段を下りた時には緊張のせいで脚が筋肉痛になっていました笑。
いかがでしたでしょうか。
ここでは紹介しきれませんでしたが、彫刻の森美術館には他にもユニークな彫刻がたくさんあります。
自分だけのお気に入りの彫刻を見つけてくださいね。
彫刻・・・良い。
最後に
彫刻の森美術館がいかに素晴らしい施設であるか、おわかり頂けましたでしょうか。
この記事はできればゴールデンウィーク前に仕上げたかったんですけど間に合いませんでしたね笑。
連休じゃなくても東京からでしたら週末に一泊二日で(頑張れば日帰りでも)行けますし、夏休みにご家族で行ってもいいですしね。
ということで、長々と語ってしまいましたが、彫刻の森美術館は本当にオススメなので、是非一度足を運んでみてください!
彫刻の森美術館は…いいぞ。
〈後記〉
ちょっと個人的な感想(与太話)を。
僕は彫刻の森にいる間、ちょっとした「懐かしさ」を覚えていたんですよね。
それはアートに触れて自分自身が童心に帰ったというのもあるのですが、それ以上に、この場所だけ、いい意味で90年代~00年代初頭あたりで時が止まっているような感じがしたんですよ。
彫刻の森にきてこんなことを感じるのは僕だけかもしれないのですが(もしいらっしゃったらコメントください)、彫刻の森って「戦後の豊かさ」みたいなものが残っている国内でも数少ないスポットなのではないでしょうか。
彫刻の森はフジサンケイグループ傘下の美術館なのですが、だからでしょうか、古き良き昔のフジテレビ的な空気(「ポンキッキーズ」みたいな)を僕は感じました。
センスのいいちょっとスノッブな大人たちが、金に糸目をつけず、子どもたちのために(ときどき子どもたちを置いてけぼりにしながら)全力で遊んでいる。そんな空気を(昔のフジテレビは面白かったんだけどなあ…)。
薄っぺらな商業主義も、取ってつけたようなナショナリズムもない。「ゆるキャラ」や「ネットで話題の~」のような素人臭さもなければ、上から目線のお説教臭さもない。お金と教養と技術のあるプロたちが本気で「文化の豊かさ、面白さ」を追求できる空間。
公共に開かれていると同時に、外界の「美しくないものたち」からの干渉を免れる程度には閉じられてもいる空間。
そのような空間が、現実の中でもメディアの中でも、今の日本にどれだけ残っているのだろうか…
そう考えるとちょっと寂しくなる。
まあ個人的な感想ですし、もしかしたらただの思い過ごしかもしれませんが。
そんな一昔前の「豊かだった頃の日本」を感じられる(かもしれない)のも彫刻の森美術館の魅力の一つではないかなと個人的には思っています。
皆さんだったらどのような感想を抱くのでしょうか。